度々、紹介している鏡餅ウニことPrionechinus forbesianusです。昨日もイイ感じ(撮影しやすいという意味で)に重なったペアがいました。
このウニは水深300mの沈木から見つかる小さなウニですが、時折、2匹が上下に重なる習性があることが飼育を通じて明らかになっています。これは他のウニでは報告がない珍しい習性なのです。
これまでの調査で、下の個体がメスで上の個体がオス、共に性成熟に達していることはわかっていますが、産卵の瞬間自体は確認していません。なので、この重なり行動が直接的な繁殖行動なのかは証明できていません。
一旦、重なるとしばらく重なったままです。
…などと見ていると、下のメスが排便し始めました。
実は、最初の頃は、オスはメスの便(ウンコ)を食べようとして上に乗るのか?と推理したこともありましたね。メスの肛門にオスの口が接しているので、もしかしたら食べているのかも…と。
今、ちょうど排便したのでこれで食べてくれれば証明できるのに…。でも、この位置だったので、便はそのまま落下…残念。
もっとも、オスが単独でいるときに沈木をかじって便もしていることは確認済み。なので、オスはメスの便に頼らなくても良さそう。この説の可能性は低いと考えています。
やはり繁殖行動(近い将来の繫殖のためにキープ…とか)でしょうね。
【飼育研究部 森滝丈也】