水槽の掃除をしていたら年配のご夫婦のお客様から声をかけられました。
「あの~足のいっぱい生えたタコは展示していますか?」
館内マップを片手に、少々お困りの様子。表情からするとワケがありそうですが、そのまま対応しました。
多足ダコの標本は「へんな生きもの研究所」で展示をしていますよ。と、館内マップで展示場所のご案内をしていると、
お客様が、ぽつりと
『いやぁ、50年ほど前に修学旅行で見た記憶があって…』
と懐かしそうにおっしゃいました。
50年前!
確かに…こちらの56本足のタコが採れたのは、1964年(昭和39年)のこと。
さらには、色合いが年代を感じさせるこちらの85本足のタコさんは、1957年(昭和32年)のもの。
間違いなくお客様が50年前に対面した多足ダコさんでしょう。
聞けば、お客様はそれ以来のご来館だそうです。
水族館の建物の記憶は全くないそうですが(苦笑)、この多足ダコの記憶だけはハッキリと残っていたそうです。
50年の歳月を経ての再会、お客様はどんな思いで見つめていたのでしょうか。
【飼育研究部 たかむら】