館内を見回りしていて、水槽中のヒユサンゴの裏側に付着するベニクラゲムシを見つけました。体長1㎝ほどでしょうか。
クラゲムシはクラゲの名が付いていますが、クラゲ(刺胞動物・しほうどうぶつ)ではなく、クシクラゲ(有櫛動物・ゆうしつどうぶつ)の仲間です。
高村さんが採集したカブトクラゲやチョウクラゲのようにフワフワと漂う仲間が多いクシクラゲ類ですが、クラゲムシは例外的に扁平な体の付着生活者です。
一番の特徴は、体にある1対の穴から出るネバネバの細い触手。
夜になると、この触手を海中に静かに漂わせて餌を捕まえます。漂う触手はまるで絹糸のよう(矢印のあたりから出します)
触手には何本もの短い糸が垂れ下がり、緩やかに漂う様子はそれだけで幻想的。昼間はお見せできないのが残念です。
暗闇の中で水流に漂う触手は、餌が絡まると音もなく体の中にしまい込まれていきます。そして、また伸びて水流に漂わせる。そのくり返しは投網のよう。
同じ水槽のいくつかのヒユサンゴに付着していたので、ヒユサンゴは水槽の前面へ移動させておきました。ガラス越しにベニクラゲムシの姿が観察できます。展示生物にリストアップします(笑)
次の宿直の夜が楽しみです。
【飼育研究部 森滝丈也】