先月11日に熊野灘(紀伊長島沖)水深300mで採集したトゲヒゲガニ。
フクロムシの仲間(矢印)が寄生しているじゃないですか!
見かけること自体少ないフクロムシの仲間。
その名前の通り、袋状の体が特徴の寄生生物(甲殻類)です。
寄生する相手はカニやエビ、それから自分と同じ仲間であるフジツボなどの甲殻類。
袋状に見えている部分がフクロムシのメス(体節構造も付属肢も退化)で、オス(精巣以外の器官がほとんど退化)はサイズが小さく、メスの体の中に潜んでいるそうです。
熊野灘のカニに寄生を確認したのは今回で2例目。
そそられますねぇ~
フクロムシはホスト(寄生する相手)がオスでもメスでも寄生するそうですが、オスがフクロムシに寄生されると生殖機能が阻害され、脱皮を繰り返すごとに徐々にメス化していくそうです。
体つきがメスのようになり…
繁殖行動もおこなわなくなる…
これは、オスが繁殖に使うエネルギーをフクロムシが利用するための戦略らしいです。
怖いですねぇ。
そして寄生されてメス化したオスは、腹に抱えたフクロムシを卵を守るように保護するようになるそうです…
やだわ~怖すぎる。
今回、確認したトゲヒゲガニもオスですが、これも行動が変化しているのでしょうか?
過去3年半の熊野灘沖合底引き網採集で確認された無脊椎動物は11門250種以上になりますが、これでまた新たな種類が(きちんと種類を調べなければいけませんが)リストに加わりました。
【飼育研究部 森滝丈也】