昨日、深海底引き網で捕獲されたタコクモヒトデ(の仲間)が入館しました。
深海に生息するクモヒトデの仲間で、名前の通りどことなくタコっぽい質感の腕を持っています。
水族館に入館するのは割合珍しく、私が記憶している限りこの10年間で3個体目か4個体目ぐらいです。
今回の個体はかなり大きく腕の長さが40㎝ほどもあります。
しかし入館時にすでに腕の一部を自切していたので、おそらく長くは生存しないだろうとひとまず写真で記録することにしました。
キモかっこ良いのでいつかは展示したい生きものですねぇ。
こちらは口側。腕に並ぶ棘がかっこいい!
そして今朝。
…出勤してみると、やはり昨日よりも腕の自切は進んでほとんど瀕死状態。
残念ですが、こうなってしまうと死んでしまう前にできるだけ生存時のデータを集めなければいけません。
あまり目にする機会がない深海生物だけになおさらです。
通常、クモヒトデの仲間の生殖腺は中央にある丸い盤に収まっているのですが、タコクモヒトデはどうやら腕の中にまで入り込んでいるようです。
「チーちく」ですか(笑)
あとで資料を読んで確認したところ、タコクモヒトデ科は「生殖腺は腕の基部に伸びる」と記述されていました。
でも、基部という言葉でイメージする以上に腕の中程まで生殖腺は伸びていましたね。
やはり実物を見ないと実感できないですね。
そして、生殖腺から卵を取り出して観察したのですが、卵径が0.86㎜もありました。
結構大きなサイズです。
深海の棘皮動物は大きな卵を産む種類が多くいるようですが、タコクモヒトデも同じ繁殖方法だと思われます。