先日の魚類採集で漁師さんからカイメンを頂いてきました。ヒトエガイの餌になるかもしれません。
カイメンの組織をむしりながら中を観察していると、出てきたのがこれ↓ 高さ7mmほどのカイメンフジツボの仲間です。(ケハダカイメンフジツボかな?)
フジツボと言えば、磯の岩やコンクリート護岸の表面にうじゃっと付着している姿をイメージすることが多いと思いますが、このカイメンフジツボのように、生物のカラダ(組織)に埋没して生活する種類もいるのです。
あ、そうそう、フジツボはこういう姿をしていますが、エビやカニと同じ甲殻類の一群です。2枚のフタのような殻板の間から脚(蔓脚)を出してプランクトンなどを捕まえて餌にします。
岩に付着する種類では底からセメント質を分泌して基質に強く付着していますが、カイメンフジツボの仲間は底がお椀のように丸くなっていて付着することはないようです。
面白いことに、カイメンの中で見つかるカイメンフジツボの多くは屍骸です。
おそらく成長するカイメンの組織に埋没して餌が取れなくなって死んでしまったのだと考えられています。今回も、生きた状態で見つけたのはこれ一個体だけ。
カイメンフジツボは突起の付いた蔓脚を動かして、迫りくるカイメン組織を削り取りながら自分の陣地を(文字通り)死守しているのだとか。
おまけに、この個体、体の右側に大きなくぼみができていました(画像 左)。
同じようにカイメン組織に埋没する異物が密接していたために、成長の途中で殻板が変形してしまったのでしょうか。
生きた組織の中に埋もれて生活するのもなかなか大変そうです。