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鳥羽水族館 飼育日記 鳥羽水族館 飼育日記

連室細管索(れんしつさいかんさく)

先日、オオベソオウムガイの話題を書き込んだばかりですが…

昨日、給餌の際、死んでいるオオベソオウムガイを見つけました。ガーン…飼育下では2、3年ぐらいは生存するので、死ぬには少し早い。…残念。

体の一部に傷ができていました。

とりあえず、いつものように殻から軟体部を取り出して、体の状態を確認してみることにしました。

すると、死んで間がなかった(新鮮だった)ためか、殻から引き出した軟体部の後端に細長い紐状のもの(矢印)がビロ~ンとついてきました。あ、これが見られるのはちょっと珍しいかも。「連室細管索」です。

オウムガイ好きの皆さんならすでにご存知かも知れませんが、実は、オウムガイ類の殻の内部はいくつかの部屋(隔室)に仕切られています。隔室の中は気体で満たされていて、浮力調整に役立っています。

そして、細い石灰質の管がそれぞれの部屋を連ねるように貫いています(文字通り、“連室細管”)。この管の内部に連室細管索が通っています。

隔室はオウムガイが成長するたびに増設されていきますが、隔室の壁(隔壁)が十分に石灰化していないうちは、隔室内部は海水に近い液体で満たされています。そして、隔壁の強度が増すと、徐々に液体が抜かれて気体に置き換えられていくのです。 

この、液体と気体の置換が連室細管索の働きによるものなのです。

連室細管のほとんどの部分は石灰質と角質でできているので、液体は通過できませんが、隔壁と交わるあたりだけ液体が通過可能な構造になっています。ここから内部の連室細管索を通って隔室内の液体が排出されるのです。

殻の中で連室細管索はこんな感じで丸まっているのでしょうね。ちょっと丸めてみました(笑)。ところで、昔は『オウムガイは海中深く潜るときに殻の隔室内に液体を満たして重量を増やし、逆に、浮上する時には、その液体を体外に捨て去って体を軽くして浮かび上がる』と、広く信じられてきました。これは潜水艦と同じ仕組みになりますが、実際はこのような事実はありません。実験によって証明されています。

ゆっくりとしたスピードでなら、液体と気体の置換は可能ですが、素早い出し入れはできないのです(今でも、信じている人は意外と多いのですが)。

豆知識です。

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