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鳥羽水族館 飼育日記 鳥羽水族館 飼育日記

尿中 オイシ~ ニハイチュウ

ニハイチュウという多細胞生物がいます。

 

多細胞生物と言っても体を構成する細胞はわずか40個以下、多細胞生物の中でいちばん細胞数が少なく、体長もわずか数百μm~数mm。

ですが、図版で見る姿と生態はなかなかオリジナリティーに溢れて(ちょっと意味不明?)実に魅力的。

その存在を知ってから早、20数年…

個人的に、いつかナマで見てみたいと考えていました…いや、その気になれば、実に簡単に見ることができちゃうのですけどね。

ついに昨日、ニハイチュウを見る機会が訪れたのです。

 

実は、ニハイチュウは生活の場が特殊で、タコ類やコウイカ類の腎嚢(腎臓)に寄生して尿中の成分を養分にしています。

だから、腎嚢を見さえすれば簡単に観察できるのです。

 

そこで、昨日(思いつきで)死んだシリヤケイカの腎嚢を取り出して顕微鏡で観察してみました。

おぉ!いました!予想以上にたくさんうごめいています。

 

じゃ~ん!これがニハイチュウです。…あ、動き回ってうまく写真が撮れなかった。これじゃ魅力がお伝えできない。

シリヤケイカにはDicyema sepiellae という種類の寄生が知られているのでで、おそらくこれがそれでしょう。日本沿岸では14種類のタコ・コウイカ類の腎嚢中に36種類のニハイチュウが見つかっているようです。

写真はうまく撮れなかったのですが、観察を堪能しました。

 

さて、シリヤケイカのニハイチュウがうまく撮影できなかったのですが、本日、早速リベンジのチャンスが到来!(朝の見回り中、たまたま死んだマダコを見つけただけですが)

そこで、昨日と同じようにマダコの腎嚢を取り出してみました。

 

おぉ!またまたたくさんのニハイチュウがうごめいているじゃありませんか。

ちなみにマダコには3種類のニハイチュウが寄生しているそうです。

こんな感じで腎臓の表面に頭部でゆるく接着しています。実は、ニハイチュウは無性生殖と有性生殖の2つのサイクルがあります。

腎嚢内の個体密度が低いと無性的に発生する蠕虫型幼生を生みだし、個体密度が高くなると受精卵から発生する滴虫型幼生を生みだすそうです。

この滴虫型幼生は尿と共に海水中に泳ぎだして、次のイカ・タコに取りつくようです。

なかなか興味深いライフサイクルですね(少しややこしいですが)

 

そうそう、今日のマダコに寄生していたニハイチュウは、多少うまく撮影できました。

いくらかマシ程度、ですが(笑)

 

ちなみに、同じ頭足類であるオウムガイの腎臓も観察してみました。ニハイチュウの寄生の報告はありませんが、試しに…が、やはり寄生していませんでしたね(少し残念)。

 

ところで、マダコの腎嚢では、こんなのも見つけました。

こいつも寄生虫ですね。吸虫かな?興味津々。

あ、でもこの世界はマニアックになりすぎるので今宵はこのあたりで、さようなら~

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