昨日、魚や甲殻類に混じってチヂミトサカが入館しましたが、残念ながら状態は悪くて既に瀕死…。
これを何とは無しに手に取って見ていた私、あれ?と気になるモノを見つけてしまいました(笑)。はい、いつものワケワカランものですね。
長さ2センチほど、細長いミミズのような姿。動きや質感は、ゴカイの類では無い…。
すぐさまピン!ときました。胸を高鳴らせ、顕微鏡で拡大してみると…。思った通り、それはカセミミズの仲間(溝腹類)でした。
ミミズといえば確かにミミズっぽい姿をしていますが、カセミミズ(溝腹類)は海にすむ原始的な貝の仲間(軟体動物)。細長い虫のような姿をしていて、貝殻はありません。
体の前端に口がありますが、目や触角、エラは持ちません。ヤギ類(腔腸動物)に巻き付いてそのポリプを食べています。
このグループはあまり詳しく調べられていないようで、日本近海ではまだまだ新種が発見される可能性があるようです。
久しぶりの遭遇に嬉しくなり、周囲のスタッフに見せてまわったら「魚のフンみたい…」と言われてしましまいました(笑)。釣り好きのつじ君になんて「僕もこんなのでムラムラくるようにならなきゃダメっすね!」と言ってましたが、さすがの私もムラムラはしません。ワクワクはするけど(笑)
今回、見つけた個体は全長23㎜。シタナシホソヒモ科の一種ではないかと思ったのですが、専門家に画像を見てもらったところ、やはり画像だけでは判断できないとのこと。
しばらく様子を見て標本にしてしてきちんと調べてもらうつもりです。
ところで、実は、3,4年前にも同じようなシタナシホソヒモ科の一種を見つけたことがあります。(全長約40㎜)
これもヤギについていたところを偶然見つけたので、注意深く探せばもっと見つかるかもしれません。この時見つけた個体はなかなかキレイな姿をしていました。
また、この仲間(溝腹類)で特に大きくなる(全長約30㎝)カセミミズは、たま~に入館した時に展示しています。
いずれにしても目に触れる機会が少ないグループですが、軟体動物の進化を考える上で興味深い存在です。
動きはゆっくりですが、よく見れば愛着が湧いてきますから。間違いない!
どちらが頭かすらわかりにくい生物ですが、まずはこんな生きものもいるんだ、と思っていただければ、いいんじゃないかと考えています。