へんな生きもの研究所で4月からフクロムシを展示しています(ヒシガニに寄生)
フクロムシは体節構造を全く持ちませんが甲殻類の一員で、同じ甲殻類であるカニやエビなどに寄生します。
ここで、寄生生物フクロムシのライフサイクルのおさらいを…
前回も紹介しましたが、実はフクロムシの生活史はなかなかユニークです。
フクロムシの幼生はカニの体表に取り付くと、ケントロゴン幼生という形態になります。
そしてケントロゴンはカニの体に針を刺して中身だけカニの体内に侵入します。
これがバーミゴン幼生。
バーミゴンはカニの血流に乗ってお腹あたりに到着すると、そこの血管(血洞)に付着して、そこからどんどん根を伸ばしていきます。
そして最終的に生殖巣である袋を作り、カニの外側に飛び出してくるのです。
つまり、カニの中にはフクロムシの【根】が張り巡らされているわけです。
さて、そんなフクロムシですが、3ヶ月ほど順調に飼育を続けていましたが、先日、袋(エキステルナ)が崩壊していることに気がつきました。
飼育開始から今までホストのヒシガニは順調にエサを食べていましたが、エキステルナが破れたのと期を同じくして、急にエサを食べなくなりました。
これは、もしかしたら脱皮が近い?
おそらくカニの体内にはフクロムシ本体のインテルナ(カニの体内に寄生)が残っているはずです。
脱皮した後にまた袋(エキステルナ)が育って体外に出てくるのでしょうか?
また、フクロムシに寄生されたカニがオスの場合、脱皮を繰り返す度に体や行動がメス化していくことが知られています。
このヒシガニもオスなので、脱皮したらどういう姿になるのか…こちらも興味があります。
これからも観察を続けて行きます。
【飼育研究部 森滝丈也】