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鳥羽水族館 飼育日記 鳥羽水族館 飼育日記

スズコケムシでしょうか

10月に熊野灘水深200-300mで採集した深海性のホヤの仲間。

へんな生きもの研究所でひっそりと展示していますが、先日このホヤの表面にスズコケムシ(の仲間)が付着していることに気が付きました。

スズコケムシは私の好きなロクソソマ類と同じ内肛動物の一種。

内肛動物の中ではかなりメジャーな種類で、結構いろんな場所で目にします。

磯のような浅海域や水槽の中でも簡単に見つかります。

水深300mあたりでも棲息が確認されているようなので、おそらくこれもいわゆる普通のスズコケムシだと思われます。

 

単体性のロクソソマとは違ってスズコケムシは群体性。個虫は細いヒモ状の走根でつながっています。

個虫の高さは4-5mmぐらいでしょうか。目を凝らせばなんとか見えるぐらい。

長い柄部の根元には屈曲する筋肉節があって刺激を受けるとここを支点にユラユラ揺れます。この動きが特徴的で実にカワイイ!

そして柄部の先端には本体である萼部があります。

私にとって、スズコケムシ(内肛動物)最大の萌えポイントは、萼部の消化管なんですよねぇ。

説明しにくいのですが、幅0.4mm程度の小さな体にシンプルな消化管が収まっていることが私の心をくすぐるのです。

実際、学生の頃にこの内肛動物の模式図を目にして無脊椎動物の魅力に取りつかれ、それをきっかけに水族館を就職先に決めたぐらいですから(笑)

 

アメリカカブトガニ水槽の壁面にもスズコケムシが付着しています。

今回の深海産の個体と比較するため採集して観察してみました。

細かな相違点があるようにも見えますが、種類が違うとは判断はできません…。

って言うか、カブトガニ水槽の個体に幼生が付いているじゃないですか!初めて見ました。

群体性のスズコケムシは走根から無性生殖で増えていきますが、このように有性生殖でも繁殖します。

萼部にある生殖巣で卵の発生が進み、幼生が生み出されます。

【飼育研究部 森滝丈也】

 

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