熊野灘で採集したゴカイの仲間が新種記載されました!タコヤドリゴカイ Spathochaeta octopodis です。
5年前から紀伊長島の沖合底引き網漁船(第十八甚昇丸)にお世話になって、熊野灘の生物調査を実施していますが、2017年11月に水深150mで採集したタコの体表に見たことが無いゴカイの仲間が付着していることに気付きました。
共生関係ではないか?と気になり、しれっと飼育日記に書き込んだところ、共同研究者である北海道大学の多毛類研究者である自見直人さんからすぐに連絡が入りました。大変珍しいヤドリゴカイの仲間かもしれない、とのこと。
急ぎ標本を送り、調べてみてもらった結果、新属新種のヤドリゴカイの仲間だと判明したわけです。
発見から論文の出版(新種記載)までわずか14ヶ月。私が関わった中では最短デビューです(笑)
ヤドリゴカイの仲間は基本的に化学合成生態系から見つかるようで、こんな浅い場所から採集されることは珍しいようです。また、同じ仲間で二枚貝と共生する種類がいくつか知られていますが、本種はタコと共生(タコと共生するゴカイ類はこれまでに知られていませんでした)。なかなか興味深い生態です。
これまでに、1個体しか見つかっていないので、またいつか採集できることを願っています。その時は水族館で生体展示したいですね。
【飼育研究部 森滝丈也】