秋になると水族館目の前の菅島の漁師さん(幸進丸)から声がかかり、セノテヅルモヅル(クモヒトデの仲間)をいただくことがあります。
そのモジャモジャの姿からセノテヅルモヅルはパーマと呼ばれるようです。
菅島付近でセノテヅルモヅルはイセエビの漁期である9-4月頃によく捕れます。
時期によって網をかける場所が変わることも関係するのかもしれませんが、水族館に持ち込まれるのは秋と春が多く、なぜか水温の低い冬場は入館しません。
実は、去年と一昨年は複数を予備水槽で飼育していましたが、冬になり水温が10℃を下回るといきなり崩壊しはじめ全滅してしまいました(2年連続…)
水温が高い展示水槽(18-21℃)へ移動すると死ななくなるので、死亡原因のひとつは低水温であろうとは想像できるのですが…実際のところ、鳥羽湾の冬場の表層温度は8℃台まで下がるんですよねぇ。
冬の間、海中のセノテヅルモヅルはどうしているのか気になるところです。
さて。
腕の付け根に開口する生殖裂孔から内部をのぞくと、オスの生殖腺は白く、メスのものはオレンジ色に見えます(矢印)
今回入館したのはオス1匹にメスが3匹。
鳥羽湾では秋から冬にかけて生殖腺が発達するようなので、繁殖期は冬あたりだと予想していますが、このテヅルモヅルの仲間では産卵、発生の過程はほとんど明らかにされていません。
本日、入館したセノテヅルモヅルは全て伊勢志摩の海ゾーンの展示水槽に入れました。
【飼育研究部 森滝丈也】