先日、深海底引き網で採集してきたツノモチダコを展示してみたのですが、翌日には死んでしまいました。
飼育環境が合わなかったのかもしれません。
目が大きくてなかなか愛嬌のある顔つきのツノモチダコを皆さんにも見ていただきたかったのですが、残念です。
さて、その死んだツノモチダコを先ほど解剖していたのですが、ふと思いついて腎臓を検鏡することにしました。
実は、タコやイカの腎臓(腎嚢)中にはニハイチュウという生物が寄生することが知られています。
ツノモチダコにも寄生しているのか、確認です。
以前にも飼育日記で紹介したことがあるのですが(マイナー生物過ぎて覚えていないでしょうが)このハイチュウという生物は、タコ類やコウイカ類の腎嚢に寄生して尿中の成分を養分にしています。
れっきとした多細胞生物ですが、体を構成する細胞はわずか40個以下、多細胞生物の中でいちばん細胞数が少なく、体長もわずか数百μm~数mmしかありません。
私は今晩は宿直なので、見回りも終えた夜の12時、夕方取り出したツノモチダコの腎嚢を顕微鏡でのぞいていてみました…
すると…おぉ!そこにはニハイチュウの姿が!
あれ?…でも、ツノモチダコにニハイチュウ類の寄生の報告例はあったっけ?
あらためて調べ直すと、日本沿岸では8種類のタコ、6種類のコウイカ類の腎嚢中に36種類のニハイチュウが見つかっているようです。
ですが、とりあえず手元の資料の中にはツノモチダコの名前はありません。
もしかしたら、これは意外と新事実発見かも知れませんね。
ニハイチュウは寄主によって寄生する種類が決まっているようなので、もしかしたら今回のもツノモチダコだけに寄生する種類である可能性もあるかも。
まぁ、これ以上のことは判らないので、あらためて専門の方に問い合わせてみることにします。
とりあえず、今晩はもう遅いので寝ることにします。
お休みなさい。zzz