熊野灘水深300mに生息する 「鏡餅ウニ」ことPrionechinus forbesianus
巻貝ヤドリニナに寄生されると殻の変形が誘発されるのでは?と以前の飼育日記で紹介しました。
https://aquarium.co.jp/diary/archives/16237
殻だけでなく爪状叉棘も変形したように見えますが、その他にもうひとつ奇妙な変化に気付いていました。
下の画像は死亡後に棘の一部を取り除いたものですが、わかりますかねぇ…肩のように変形したあたりに棘のはえていない円形の部分(BCG予防接種の痕みたいな)があるんです(矢印)。きれいに間歩帯にひとつづつ。
※「間歩帯」…歩帯と歩帯にはさまれた部分(歩帯は 管足が2列1組並んだ部分)
この変化はどうやら偶然ではないようです。
現在、へんな生きもの研究所で飼育中の別個体にもヤドリニナが寄生していました(今はいません)
そして、やっぱりこの個体も殻が変形していました。
そしてBCG予防接種痕(みたいな)もある。
気になったので、顕微鏡であらためて詳細確認。
この色の意味は何なのかよくわからないのですが、やはり間歩帯にひとつづつある…
BCG予防接種痕(じゃないけど)の部分は棘が生えていません。
これ、ノーマルなものと比べるとずいぶん形態が違うんだよなぁ。ヤドリニナの寄生が変形を誘引しているのかなぁ。
そんな変化があるなんてこれまでに聞いたことありませんが。
これ、今、気になって継続観察中の案件のひとつ(たくさん抱えています…)なので、備忘録代わりにここに記しておきます。
興味ある方、何か知見をお持ちの研究者の方、どうぞ連絡ください。
【飼育研究部 森滝丈也】