昨日の夕方、2匹のナメクジウオ(ヒガシナメクジウオ)が水族館に持ち込まれました(全長2.5~3㎝、鳥羽市国崎町沖 水深50m ドレッジで採集)
1匹は大きな傷を負っていましたが、とりあえず2匹とも、へんな生きもの研究所で展示してみることに…
ナメクジウオ…ご存知でしょうか?こんな姿をしています。ナメクジでも魚でもありません。
動物の分類の話になります。
一生のうちのある時期(あるいはずっと)、体に「脊索(せきさく)」という細長い器官を持つ動物は【脊索動物門】というグループにまとめられますが、この脊索動物門の中に①私たちヒトから魚類までが属する(脊椎動物)と②ホヤの仲間(尾索動物)、③ナメクジウオの仲間(頭索動物)が含まれます。
脊椎動物は個体発生の過程で脊索の周りにカルシウム成分が沈着して背骨が形成されますが、他の2亜門では脊索は出現しても背骨はできません。つまり脊椎動物の一歩手前ということになりますね。
ちなみにナメクジウオは基本体制が魚類によく似ていることから、以前はホヤよりも脊椎動物に近いグループであると信じられてきましたが、最近の研究によれば、むしろホヤの仲間の方が私たち脊椎動物に近い仲間だと考えられるようです。
等々、私たちの身近な“親戚”ナメクジウオはなかなか興味深い生物ですが…展示するとなるとこれがなかなか難しい。
まずサイズが小さい。普段は動かないので、まるで「しらす干し…?」だし、砂の中に潜って生活するので、潜ったら全く見えなくなるし…
ということで、今回は試験的に水槽の中にワイングラスを入れて、この中で展示してみることにしました。
でも動きませんよ(笑)
時々ピンピンと跳ねるように泳ぎまわることもありますが基本的にじっとしています。
あまり長くは展示できないと思われますので、興味ある方はお早めにお越しください。
へんな生きもの研究所のウミケムシ水槽内です
【飼育研究部 森滝丈也】