コーラルリーフダイビングゾーンの育成水槽で飼育中のタバネサンゴが、生まれてからそろそろ5年になります(2010.7.10孵化)
実は、このタバネサンゴは当館で繁殖したものではなく、和歌山県の串本海中公園センターさんで繁殖した個体を3年ほど前に譲渡していただいたもの。
串本海中公園センター(以下、串本と略)ではこれまでに何種もの造礁性サンゴの繁殖に成功しており、タバネサンゴも20年近く前に繁殖に成功しています。
水槽内でサンゴがどのように成長するのかまだまだデータ不足なので、孵化から5年を機に、タバネサンゴ(串本生まれ鳥羽育ち)の身体測定をおこないました。
興味深いのは、そのサイズ。
串本さんの報告では、水槽内で育ったタバネサンゴは孵化後7年で産卵を開始(配偶子放出)し、その7年目の個体のポリプ数は6-21個、直径が60-80mmだったそうです(ポリプは画像の丸い部分、サンゴはポリプが分裂して数が増え、成長します)
それに対して、当館のタバネサンゴは孵化後5年にして、すでにポリプ数は 58個、直径は11cmオーバー。
これは飼育環境の違いが成長の差に出たのではないかと思われます(当館の水槽の方が明るい?)
自然の海ではさらに成長がはやいと思われるので、野生のタバネサンゴであれば孵化後7年も経過せずに産卵開始(配偶子放出)する可能性も予想されます。
でも、串本さんより成長がはやい当館のタバネサンゴがまだ産卵していないことからすると、やはり野生でも産卵開始まで5年以上はかかるのかも…
飼育条件の異なる水槽と自然の海の、成長速度や産卵開始時期を比較すると面白いでしょうね。
さて、こちらは今年の正月に撮影した画像。こう見ても半年で結構育っているのがわかります。
そしてこちらは生まれておよそ2年、鳥羽にやってきて半年ほど経過した頃の可愛い姿。
当館のタバネサンゴの産卵(配偶子放出)はいつになるのか…?
今後の成長に注目です。
【飼育研究部 森滝丈也】