前回、捕獲されるオオグソクムシ類やオウムガイ類に性比の偏りが見られるけれど(オスが多い)、それは採集方法によるものかも知れないとお伝えしました。
もちろん、雌雄の行動の違いや、もともとの性比が違う可能性もあります。
どの種も深海に生息するので自然状態の性比を調べることは難しいのですが、ヒントになりそうなことがあります。それは水族館生まれの子どもの性比を調べることです。
これまでに鳥羽水族館ではオウムガイ類が239個体孵化しています。※現在は展示していません。
孵化間近の卵

性比を調べると、オウムガイではオスとメスの比率が1:1.08、オオベソオウムガイでは1:0.94、パラオオウムガイでは1:1.8という結果になりました。パラオオウムガイではメスの比率がやや高くなっていますが、これはサンプル数が少ない影響(14個体)でしょうね。
3種を合わせた性比は1:1.07となり、ほぼ半々という結果でした。どうやらオウムガイの性比は概ね1:1だと言えそうです。
自然状態でもこれがあてはまるなら、捕獲されるオウムガイの性比の偏りは雌雄の行動パターンの違いである可能性が高そうです(メスの死亡率が高い可能性もありますが)
一方のオオグソクムシ類は、自然下でも水族館においても繁殖事例が少ないこともあり、まだここまでのデータは集まっていません。いつの日か繁殖に成功すれば、性比の謎が解明できるかもしれません。
【飼育研究部 森滝丈也】






