今から6年前、鳥羽水族館で孵化したオオベソオウムガイ「M63」の成長速度を調べました。結果、孵化後しばらくは殻の成長が速く、特に孵化後60日ほどまでは成長の盛んな時期であることがわかりました。
一方、野生のオオベソオウムガイの殻を科学的に調べた研究では、卵は水深100~200mほどの比較的浅い場所で孵化し、その後、移動し、成熟するまで水深350~400mほどの深い場所で成長する可能性が示されています(Tajika et al. 2022)。
ここで一つ、面白い想像ができます。孵化したばかりのオウムガイは、まず浅い場所で急速に成長し、体や殻がある程度しっかりしたら水深350mあたりへ移動、その水深で10数年過ごし、大人になると浅い水深へ移動するのではないでしょうか。
実際に、1993年に鳥羽水族館がニューカレドニアで行った調査では、大きく成長したオオベソオウムガイが水深200m前後を泳ぐ様子が記録されています。
最近の研究でも、オウムガイ類は成熟すると再び浅い水深を利用する可能性が示されています(Ward et al. 2026)。
「浅い場所で孵化 → 急速に成長 → 深海で幼少期を過ごす → 成熟すると再び浅い場所へ」まだ仮説ですが、飼育記録と野外研究をつなぐと、オウムガイの一生が少しずつ見えてくるようです。
在りし日のオオベソオウムガイM63
【飼育研究部 森滝丈也】






