去年の11月の話題になりますが、当館がニューカレドニアのラグーン水族館と姉妹館提携の調印式を行った際、12個体のオオベソオウムガイが譲渡されました。左:鳥羽水族館社長 仲野千里 右:ラグーン水族館社長 オーレン イザベラ氏
当館は、ニューカレドニアに生息するオオベソオウムガイの飼育研究を通じてラグーン水族館(旧ヌメア水族館)と以前から友好関係にあり、これまでに国際共同調査や、研修生の行き来による飼育技術の交流などを実施してきています。
オオベソオウムガイはニューカレドニアで保護されているので、日本国内に出回ることはほとんどありません。現在、展示をしている水族館はラグーン水族館と鳥羽水族館だけのようです。
その戴いたオオベソオウムガイ達ですが、年明けから産卵が始まりました。
卵は水槽の擬岩に1つずつ産みつけられますが、発生が進むためには成体の飼育水温よりも高い水温で管理する必要があります。当館では展示水槽のとなりの孵化専用水槽(水温25℃)に移動して、孵化を待ちます。
胚の発生速度は意外と遅く、孵化まで10ヶ月近くかかります。そして、産卵からある程度の日数(数ヶ月)が経過したら、卵の中を覗いて個々の発生状況を確認します。
先日、産卵し始めてから初めて卵の中身を確認してみました。今回確認したのは1月に産卵した5個。
オウムガイの仲間の受精率は低く、なかなか孵化に成功しないので期待半分、不安半分でしたが…
おぉ!無事に発生が進んでいる卵が1つありました(他に発生初期で死亡していた卵が1つ)。
卵の殻の中からオウムガイの幼殻が見えてきています。これぐらい発生が進めば、おそらくこのまま無事に孵化してくれるはず(願望)。
まぁ実際のところ、孵化はまだまだ先で、おそらく10月頃になるでしょう。
でも、今回入館したオオベソオオウムガイの次世代第1号(予定)になる訳でして、少々気が早いのですが、今から楽しみです。