スナメリの「勇気」(1985年4月17日生まれ メス)が、3月7日に老衰のため天国へと旅立ちました。勇気はスナメリの長期飼育の日本記録を更新中でした。 勇気は2021年の秋頃より、年齢の為食欲の減退が見られ、飼育係は1日の給餌回数や餌の種類を増やすなどし、最後まで健康に暮らせるように見守ってきました。餌を食べる量が減っていた中、ここ1週間ほどは、ほとんど餌を食べることができなくなり、残念ながら7日の朝早くに飼育係が死亡を確認しました。 勇気は、1985年に鳥羽水族館の旧館で生まれ、当時より水槽のガラス面近くでお客さんに愛嬌を振りまいたり、給餌の際には水面から顔を豪快に出してエサをねだる姿が人気を博していました。また、館内やSNS上では付いた愛称からオスと誤解されることも多く、その都度飼育係が訂正していたのが思い起こされます。 食欲の減退が始まって以降は、展示プールの奥にあるホールディングプールで暮らしていましたが、プール上部から垂らされたホースから出る水で遊ぶ姿を、遠目からお客さんにご覧頂くことができました。残念ながら出産した子どもが育つことはありませんでしたが、長寿のスナメリとして鳥羽水族館の人気を牽引してきただけでなく、同種の成育、飼育管理について多くの知見を残していきました。 スナメリの寿命は、約25~30年とされており、38年以上も生きた勇気は大変な長生きであったと考えられます。勇気を長年世話してきた飼育係は「他の個体を押しのけて餌を食べにくる豪快な姿が懐かしい。尾びれを使ってボールで遊ぶのが上手で、陸場に上げられたボールを何度もプールに返してあげたことが今でも思い出される。長期飼育を通しスナメリの健康管理についての貴重な知見を残してくれたので、今後の飼育管理に活かしていきたい。天国でゆっくり休んで欲しい。」と話しています。
鳥羽水族館で現在飼育されているスナメリは10頭(オス5頭・メス5頭)になりました。
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