エッセイ
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ショウゴインツキガイ縁起
大山 桂
去る昭和の大戦中に物資が一つ一つ不足していったので家庭菜園が流行した。福島家も御多聞にもれず家庭菜園を開いたが、肥料不足のため小さい野菜しか実ら なかった。ある日、通常のコカブと変わらない大きさのカブが出来たので、福島家のお嬢さんが「まあ!大きなコカブねー」と言って誉めたつもりだったが、 ショウゴイン(聖護院)だと叱られた。植物の名にうとい筆者もこの話を聞いてショウゴインカブラを覚えた。
カブラツキガイは長さにしてイセシラガイの半分に満たない小さい貝だが、誤ってカブラツキガイと混同された貝で、ほぼイセシラガイの小さめの貝と同じく らいにまで大きくなるパラオの貝Anodontia philippiana(Reeve)にショウゴインツキガイと命名した。
注)ショウゴインツキガイは大山先生が1958年に命名。