1986年にフィリピンにおいて保護された幼獣のジュゴン「セレナ」が、翌87年に鳥羽水族館へ搬入されてから昨年で30年の節目を迎えました。これを記念し、2月22日・23日に鳥羽国際ホテルにてジュゴンの国際シンポジウムが開催されました。
日本をはじめ、オーストラリアやフィリピンなど、国内外で活躍する研究者たちが集まり、今日のジュゴンがおかれている現状や保全に向けた取り組み、野外における研究、さらに鳥羽水族館におけるセレナを対象とした実験の成果などの発表が行われました。
初日は、ヘレン・マーシュ特別教授(ジェームズクック大学環境科学部)による【世界におけるジュゴンの現状と未来】をテーマにした基調講演が行われ、「このままでは、100年後にはジュゴンが絶滅する可能性もある。」と、ジュゴン保護の重要性を訴えました。
会場には、研究者や専門家をはじめ公募で集まった学生や一般の方など、約100名が終始真剣な面持ちで傍聴していました。
また、22日の夜には鳥羽水族館において情報交換会も行われ、それぞれがより親交を深めるとても有意義な場となりました。
副館長の若井嘉人は「今回のシンポジウムは、鳥羽水族館がこれまで培ってきたジュゴンの飼育技術や研究成果といったものが世界で絶滅の危機に瀕しているジュゴンの保護に貢献できるということを再認識する良い機会となりました。今後、日本で唯一ジュゴンを飼育する水族館として、一人でも多くの方にその魅力と現状を伝えていければと思います。」と話していました。
■主な参加者(敬称略) |
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・粕谷 俊雄 元帝京科学大学教授 <オーストラリア> <フィリピン> <パラオ> <タイ> <マレーシア> <ニューカレドニア> |